日本財団 図書館


 

ウォータフロント・リジェネレーション・トラスト
副理事長テビット・カーター

平成8年度日加共同研究プログラム

概要報告

 

この報告書は1990年代に行なわれた、トロント市(カナダ)と日本の6大都市(北九州、博多、福岡、神戸、横浜、東京)におけるウォーターフロント開発機関と開発プロセスを分析したものである。

 

この報告書は1996年11月に(財)港湾空間高度化センター(WAVE)の企画運営により開催された2回にわたる国際シンポジウムにおいて報告発表された、オスロ、ダーリングハーバー、ジョホールバル、トロント、神戸、横浜各市のウォーターフロント開発の経緯をまとめたものである。

 

この報告書は三部構成である。第一部は、日本とカナダにおける港湾政策と管理システムを比較したものである。第二部は、1996年11月に行なわれたWAVE-WRT共同研究プログラム中に視察した日本のウォーターフロント都市6ヶ所におけるウォーターフロント開発を評論したものである。第三部は、日本のウォーターフロント開発計画のプランナーと意志決定者が日本国民に高品質のウォーターフ1コントを提供するための努力を継続することを願い、いくつかの案を披露するものである。

 

この報告書は港湾の行政における日本とカナダの違いを説明したものである。日本の政策と行政は安定しているが、カナダのシステムは変化している。日本政府は港湾を社会の要となる社会資本として捉えている。日本の主要港湾はその多角的なウォーターフロント開発にみられるように、多重機能性、都市の成長による変化への対応、都市機能の複雑さを統合したものであり、単なる貨物積み替え地点としての機能を上回るものと見なされる。
一方、カナダ政府はカナダの主要な港湾を主に経済的実在、つまり、様々な要素が競合している統合北米マルチモデルシステムの一部と考えられている。カナダ政府は港湾に対する管轄権の大部分を別の機関へ委譲しつつあるが、法令により国内および国際貿易の要所と定められ、財政的に今後の黒字運営が見込まれる8ヶ所から10ヶ所の港湾の管轄権は、財政支援義務は無いものの、国側に残している(トロント港はこれに属さない)。

 

カナダの港湾組織は日本の港湾組織がウォーターフロント開発に果たしたほどの強力な役割を果たしていない。代わりにカナダでは政府は陸上基地にべ一スを置いたウォーターフロント開発公社を設立してきたという傾向がみられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION